楽な方を選ぶ心理になる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。自分でもなぜそう思うのか分からない…という人もいますよね。
でも心理を理解することで、考え方を変えられる場合もあるのです。では今回は、楽な方を選ぶ心理について詳しくお伝えしていきますので、今後の行動に役立ててみてください。
楽な方を選ぶ心理になる理由
「ついつい楽な方を選んでしまう」というのは、性格も関係しています。でもそれ以外にも理由があるもの。では、まずはこちらの内容から詳しく見ていきましょう。
自己防衛本能
「難しい道に挑戦して、全力を出したのに失敗した」という事実に直面すると、自尊心が深く傷つきます。
これを避けるために、あえて楽な方を選んで自分に言い訳を作る場合もあるでしょう。「本気を出せばできたけれど、あえて楽な道を選んだだけだ」という逃げ道を作っています。
自分の能力の限界を知るのが怖いため、「負ける可能性のある勝負」そのものを避けることで、今のプライドを維持しようとするでしょう。
自己効力感の不足
「自分ならこの難しい状況を乗り越えられる」という確信が低いと、必然的に成功確率が高そうな「楽な道」へ吸い寄せられます。
過去に失敗経験が重なっていたり、成功体験が少なかったりすると「どうせ頑張っても無理だ」という無力感が働くでしょう。
期待値が低い挑戦は苦痛でしかないため、心のダメージを最小限に抑えるために、無意識にハードルの低い選択肢を正解だと思い込もうとします。
損失回避性の影響
人間には「何かを得る喜び」よりも「失う痛み」を2倍近く強く感じる心理（損失回避性）があります。
難しい道には「時間」「労力」「自信」を失うリスクがあるでしょう。一方、楽な道は今のリソースを失わずに済みます。
「今の平穏を失いたくない」という恐怖が、「成長して得られるメリット」を上回ってしまうため、損をしないための選択として楽な方を選んでしまうでしょう。
同調圧力と社会的比較
周囲の人間関係や社会の空気が、あえて「頑張らないこと」や「無難であること」を良しとする場合、そこから外れるのは心理的に大きな負担になります。
周囲が楽をしている中で自分だけ努力すると、浮いてしまったり嫉妬されたりするリスクを感じる場合もあるでしょう。
集団から孤立したくないという社会的欲求が働き、周りと同じ「楽な基準」に自分を合わせてしまうのです。
環境による「デフォルト選択」の影響
意志に関係なく、環境そのものが「楽な方を選びやすい設計」になっている場合、それに抗うには強いエネルギーが必要です。
例えばスマホがすぐ横にある、誘惑が多い、手順が面倒といった環境では、楽な選択肢が「標準（デフォルト）」になるでしょう。
人間は、環境の抵抗が最も少ない方向へ流れる性質があるため、環境が整っていない状況では、心理的に「楽な方」以外を選べなくなってしまいます。
楽な方を選ぶことが多い人の特徴
「いつも楽な方を選んでしまう自分はダメだな…」と感じることもあるかもしれません。でも実はこの傾向がある人には、共通する気質や心理的な守りの姿勢があります。では、こちらの内容を詳しくお伝えしていきましょう。
失敗を恐れる「完璧主義」な一面がある
一見すると、楽をしたがる人は適当な性格に見えるかもしれません。でも実は「やるからには完璧にやりたい、でも失敗して恥をかくのは耐えられない」という繊細なプライドを持っていることが多いです。
難しいことに挑戦して「能力がない」と思われることを極端に嫌うでしょう。確実にできることや楽なことだけをやり、自尊心を守ろうとするタイプです。
失敗によるダメージから自分を守るための「セルフ・ハンディキャッピング」という防衛本能が強く働いているでしょう。
自己効力感が低く成功イメージが持てない
「自分ならこの壁を乗りえられる」という根拠のない自信（自己効力感）が不足していると、難しい道はただの「苦行」に見えてしまいます。
過去に大きな成功体験が少なかったり、批判されることが多かったりしたことも。もしくは「どうせ頑張っても結果は同じ」「自分には無理だ」という無力感を抱えやすいでしょう。
成功するイメージが持てないため、無駄な努力をして疲弊するのを避けるという、ある種のリスク管理の結果として楽な方を選びます。
「今」の感情を優先する感受性が豊かなタイプ
未来の大きな利益よりも、目の前の心地よさや安心感を敏感にキャッチする人です。ストレス耐性がそれほど高くなく、不快な感情（焦り、疲れ、不安）をすぐに解消したい欲求が強いでしょう。
「将来のために今を犠牲にする」という考え方にリアリティを感じにくいです。本能的な欲求に忠実で、「今この瞬間の心の平和」を何よりも大切にしたいという価値観が根底にあるでしょう。
周囲の環境や「デフォルト」に流されやすい
自分なりの強いこだわりを持つよりも、その場の空気や一番手近にある選択肢に身を任せる「受動的」な傾向があります。
強い自己主張をするよりも、周囲に合わせて波風を立てないことを選ぶでしょう。スマホが近くにあれば触る、誘われれば断らないなど、環境の影響をダイレクトに受けます。
自分で決断を下すこと自体にエネルギーを使うため、「抵抗が最も少ない道」を無意識に選ぶことが習慣化しているでしょう。
楽な方を選ぶ心理になった時の行動の仕方
「楽な方を選びたい」と思うのは、意志が弱いからではなく、脳がエネルギーを節約しようとする正常な反応の可能性があります。では、そんな時の理想的な行動の仕方について詳しくお伝えしていきましょう。
「5秒の法則」で脳の言い訳を封じる
何かをやろうと思ってから5秒経つと、やらないための「もっともらしい言い訳」が浮かんでしまうことがあります。
このため「やろう」と思いついた瞬間に、心の中で「5・4・3・2・1・GO！」とカウントダウンし、ゼロになる前に立ち上がったり、物を手に取ったりしましょう。
考える時間をゼロにして、脳が「楽をしよう」とブレーキをかける前に体を動かしてしまうことが理想的です。
「小さな一歩」に分解する
楽な方を選びたくなるのは、選ぼうとしている「正しい道」が大きすぎて、脳が「大変そうだ」と拒絶反応を起こしているからです。
このような場合には、目標を細分化して「1分だけやる」「1行だけ書く」「靴を履くだけ」 と絶対に失敗できないほどハードルを下げましょう
「これくらいなら、楽な方を選ぶのと変わらない」と脳を騙すことで、行動の心理的な壁をなくします。
「10分後の自分」と対話する
人間は「今の自分」を優先しがちですが、少し先の未来を想像すると冷静になれます。「今サボった10分後の自分」と「今少しだけ頑張った10分後の自分」を想像し、どちらが気分がいいかを自分に問いかけましょう。
目の前の「楽」よりも、動いた後の「スッキリ感」に意識を向けることで、モチベーションを呼び起こします。
「20点の出来で合格」と自分を許す
「完璧にやらなきゃ」というプレッシャーが、逆に「面倒くさい＝楽をしたい」という逃避を生み出します。
このため「今日は20点分だけでいい」と自分に許可を出しましょう。まずは完了させることだけを目標にします。
始めてさえしまえば、脳の「作業興奮」というスイッチが入り、意外とそのまま続けられるものでしょう。
楽な方を選ぶ心理になる理由を知ると行動を変えやすい！
楽な方を選ぶことも時には必要ですが、そうではないケースもありますよね。このような場合には、楽な方を選ぶ心理を理解して、今後の行動を変えていくことも大切でしょう。
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